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2024年3月28日 (木)

潜入!平群谷の古墳石室

 大阪府と奈良県境の東側、生駒山脈と後生駒山脈の間を流れる龍田川に沿って走る近鉄生駒線
(生駒~王寺)を竜田川駅で降りると、奈良県生駒郡平群(へぐり)町西宮、“平群谷”への入口です。

 近鉄生駒線は、昭和39(1964)年まで「信貴生駒電鉄」でした。現在の京阪私市(きさいち)線も
同社が敷設しましたが、私市南側の堅固な山塊を前に、結局、生駒には繋がりませんでした。

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 今回は、“ちとせ奈良” が主催する てくてくツアーに参加して、平群谷の古墳石窟に、文字通り
潜入すると云うので、期待が膨らみます。近鉄竜田川駅前に集合、打合せののち、さぁ出発です。

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 まず最初に訪れたのは、「鵜土塚(うどつか)古墳」です。釣り池の筋向いの崖を登ります。

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 後円部墳頂からの光景。平群谷にギッシリの住宅群を遠望しつつ、石室のある南側へ降ります。

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 「烏土塚(うどつか)古墳」は、古墳時代の後期(6世紀中頃)の築造とされ、墳丘の全長60.5m、
高さ9m、平群谷最大の前方後円墳です。石室の全長が14.3mもあり、幅2.9mの玄室は長さ6m、
高さ4.5mもあって、この高さは、石舞台古墳に次ぐものだそうです。比較的近い二上山に産出す
る白色凝灰岩で出来た家形石棺が収められていました。

 この「烏土塚古墳」は、近畿の前方後円墳の最終期のものとされ、埴輪祭祀の終焉に近い時期に
もあたるようで、羨道前面の前庭部分で須恵器や巫女型埴輪などがまとまって出土したそうです。
即ちそこが埴輪祭祀の場となっていたものと考えられています。

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 平群谷には、古墳時代中期前半(5世紀後半)から飛鳥時代前半(7世紀前半)にかけて築造された
古墳が71基残されているらしい。それ以外にもその可能性がある隆起が32もあるそうです。
 被葬者のほとんどは、古代豪族の平群(へぐり)氏に関わるものらしく、中には、紀氏や上宮王家
の伝承に関わるものも想定されてはいるようですが、宮内庁の治定の対象外でなければ、石室に
まで “潜入” 出来るわけがないのですがね。

 この石組みの積み方を見上げていると、渡来人豪族 “秦氏”のものだと云う、京都/太秦(うずまさ)
にある「蛇塚古墳」の石積みに似ている感じがしました。 

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 次は「柿塚古墳」です。釣り池越しに「烏土塚古墳」を遠望しながら700mほど歩き、信貴山系
東麓の低い峠に向かいます。

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 「柿塚古墳」は、古墳時代後期(6世紀初頭)に築造された円墳です。未調査ですが、直径30mで、
横穴式の片袖式石室を持ち、長さ5.2m、幅3.2m、高さ3.2mの玄室のが構築されています。狭い
開口部が崖の右下に面しているため、先遣隊にビニールシートを敷いてもらって、一人ずつ石室内
に滑り降りるようにして、文字通り “潜入” するのです。戻れるんかチョッと心配でした。

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 狭い羨道部の先では、予想以上に高い空間が待っていました。先遣ガイドが誘導してくれます。

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 石組みの積み方がやや稚拙な感じです。先遣隊のライトに照らされているので、安心感がありま
すが、閉所に弱い人には、耐え難いかも知れない圧迫感が漂います。ここは未調査のままであるた
め、副葬品とか詳しいことは、分かっていないそうです。

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 振り返ると、半ば土砂に埋まったような羨道部が斜め上方向に見えました。これを戻らにゃなり
ません。仰向きにずり上がって、頭が出たら向きを変え、両手をついて這い上がる必要があります。
 開口部で待ち構えるガイドさんに、まずはカメラを受け取ってもらいました。

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 自分の時のは撮れないので、次の方の時の様子をのぞき込みました。やっぱり引っ張り上げて
もらわないと難しそうでしたね。

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 15人程いたので、結構な時間を要しましたが、無事 “生還” した皆さんの声が弾んでいました。

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 やれやれ、こんな古墳に入り込むなんて、これまで経験したことがありませんでしたよ。(つづく)

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